米アマゾンでブック売上ナンバー1! 

ここで経済ネタを論じることはあまりないとは思うが、少し気になった情報を見つけたので、ここで皆さんにご紹介したい。ニューヨークタイムズ紙で発売直後に話題のベストセラーとなり、アマゾンでも経済本として珍しく売上ナンバー1を記録した上に、現在売り切れで入手できない本をご存知だろうか? フランスの経済学者トマ・ピケティによる『CAPITAL IN THE 21st CENTURY』である。題を訳すと、ずばり『21世紀における資産』。ああ、経済系の難しい話かとウンザリされた方、数分だけ耳を貸して下さい。常識から考えると、それほど難しい話でもないのです。


 

筆者のトマ・ピケティは、格差研究のパイオニアとして、フランスで数々の論文や著書を残している人物。ではなぜ彼の新書が、アメリカのアマゾンで一ヶ月間もナンバー1を記録するほど注目されているのか? それは彼が長年展開してきた格差社会の研究結果が、ショッキングに理論立てて綴られていることにあるらしい。

過去30年間で世界的に貧富の差が拡大し、アメリカでは、富裕層のわずか1%が全国民所得シェアの約20%を占めており、その傾向がイギリス、中国、インド、日本にも広がりつつあるというのは、既に様々な研究や論文で討論されている周知の事実である。さらに財産所有のシェアは、アメリカでは富裕層10%が全国民の70%、中国では富裕層10%が全国民の60%という結果もはじき出されている。ちなみに日本では富裕層10%が全国民財産の40%を所有している。

経済オンチの筆者にとっては、初めて見る驚くべき数字だ。感覚的に感じていても、数字で突きつけられると不思議な現実感がある。思わず納得してしまった。リーマンショックが根源となった世界恐慌や、富豪ビジネスマンや銀行による金融詐欺事件が続いた結果、<ウォール街占拠/Occupy Wall Street>が世界的な運動につながり、政府や既得権者への不信感が、いま世界中で広がっている。世界経済情勢にうとい筆者でも点と点を繋げることができる。

過去100年にさかのぼる膨大な税務データを基に展開される『21世紀における資産』で、ピケティはいままでの研究結果をさらに押し進めて理論を展開しているらしい。 財産や富は遺産として富裕層内で相続して継続される為、富裕層による所得と財産の独占的割合率の上昇は必至で、トップの牽引によって全体が底上げされるという論理は決定的な間違いである。さらに、そのような状況が進んでしまった先進国における資本主義は、平等の機会が保証されているはずの民主主義の公正さや正当性と矛盾した怪物になりかねないと警鐘を鳴らす。

ふむふむ。色んな知識のある経済学者は恐らく反論も批判もするだろうが、素人が聞いても全くの正論じゃないか、と思うのは筆者だけだろうか。アベノミクスという新しい造語を作りだし、政治と経済の関係性を全面に押し出した安倍政権の狙いは、日本が抱える巨額の負債を返済することは当然として、政治と金との関連を近年散々みせつけている富裕層の保護が背景にあってもおかしくないのではないだろうかと、妄想を膨らませてくれる情報だった。アマゾンで買えるようになったら、ぜひ読んでみよう。